【事例】スーパー大手イオンの例から5つの力 分析のやり方を学ぶ【検証】

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“5つの力 分析”をマスターする為に、具体的事例を知りたい人

うちの会社は業績が、いまひとつ伸び悩んでいます。
この前のお話で5つの力分析については理解が進みました。
自社で実際に分析をはじめるにあたって、参考となる具体的な事例があれば教えてください。

 

こんにちは、ほまれです。
流通業で18年間働き、現在は管理職としてマーケティング理論を実践しています。
2020年度は事業の売上を昨年比で20パーセント伸ばす事が出来ました。

業界で優位に立つ為には、”市場内”での他社との関係を確認し、 “自社の強みを活かした戦い方”を模索する事がポイントであると別の記事で書きました。

【初学】”5つの力 分析”~”自社の強みを活かせる人”になる手法【理論】

さて今回は小売業大手の”イオン”の例から”5つの力 分析”を実践する手法を解説します。

記事の最後まで読み進めて頂ければ、あなたも”自社の強みと弱み”を知り、”戦略・戦術を考える方向性が導き出せる”ようになるはずです。

 

買い手との交渉力

スーパーマーケットのイオンでいう”買い手”とは、消費者を指します。

 

例えば”食品を手頃な価格で買いたい消費者”にとって、安くて沢山の品揃えがあるイオンは便利なお店であり、買い手から有利だと言えます。

 

また、イオンは都心部など街中よりも、郊外に大型のショッピングモールを建設していますので、 魅力的なブランド専門店やゲームセンター、映画館などがあり、「休日を家族や友人と過ごす場所」として利用する ニーズに応えています。

更に、終活やマネーセミナー、その他習い事などを行う”カルチャースクール”と提携し、「学びとコミュニティの場」を 提供しているので、地域の方の生活改善に一役買っています。

買い手は”生活必需品が一度に揃う”、”余暇が充実する”と言った利点があり、 イオンは集客がアップするので”売上げを拡大”することが出来ます。

つまり”価格設定・品揃え”と”施設を活用した”体験”の提供”は、イオンの”強み”であると言えます。

売り手との交渉力

売り手とは、メーカーやベンダーを指します。

例えばイオンは”本社(全国)”、支社(エリア別)”、”事業部(県別)”、”店舗(市区町村別)”の単位で運営し、 消費者が求める商品の、価格・品質を必要量供給できる体制を敷いています。

特徴的なのはNB商品の大量買い付けと、PB”トップバリュ”の開発

PBは消費者が日常的に利用するモノ(食べる・着る・使う)を厳選し、変わり種よりもベーシックなモノが中心です。

悪く言えば”模倣品”ですが、商品の利用方法は消費者に広く認知されており、低価格であることから受け入れらています。

PBの”ブランドコンセプト”、”利用シーン”、”品質の証明”、”フラッグシップモデルの紹介”と言った販促は、 自社チャネル(WEBページ、店頭)に特化しているため広告宣伝費を抑えられます。

メーカー側はPBの製造を受注する事で、安定した売上を得られると言う利点があります。
イオンは大量買付で原価を下げ、販促費を抑えられるので値入が上がるので、双方にとって利益を生み出せます。

 

よって”商品の安定供給とPB開発能力”はイオンの”強み”と言えます。

※NB:ナショナルブランド。メーカーが製造し、様々なチャネルを使って一般的に世の中へ流通させている商品

※PB:プライベートブランド。自社で企画し、メーカーへの委託、または自社工場で製造した商品。自社と関連会社のみに流通を限定する商品

同業者と新規参入者の脅威

同業とはスーパーマーケットを指します。 スーパーは「スーッとと出て、パーッと消えるからスーパー」と揶揄された程、競争の激しい業種なのです。

日本にはスーパーマーケットが2,240店(2021年2月時点)、イオンリテール㈱単体では400店(2020年2月2月末)を超えます。

イオンは店舗数の多さと設備の大きさを武器に業界のトップを走っています。

小売業界へ新規参入者は「イオンの安さ・品揃え・量」が巨大な参入防壁となっており、参入しづいら業界になっていると言えます。

また、同業者であり業態も同じの総合小売業は店舗維持と新規出店のコストとが大きい為、”設備投資”、”差別化の難航”が伴いイオンを含めた各社が撤退を余儀なくされているケースが少なくありません。

一方で元気な地元スーパーがあるのも事実です。
地元スーパーは「安さ・品揃え・量」以外の戦い方でイオンとの差別化を図り好戦しています。

 

地元発祥のスーパーは商圏の消費者を熟知している。
生活様式・歳時記への対応、地場品とのタイアップなどフットワークが軽く、生活者と共生しているから絶大な信頼関係があるのです。

“設備投資コストと差別化の難航”、”地域生活への密着と地場品の供給力”は、イオンの”弱み”と言えます。

代替品の脅威

代替品とは別業種でお客のニーズに応える商品やサービスを指します。

例えばスーパーマーケットの代替品は「生協」「食品宅配サービス」など。

イオンの場合、商品の”価格を抑え、尚且つ安定した供給をする”事と”大きな店舗を構えて老若男女を問わず集客する”事が 強みです。

一方、「一人ひとりの消費者」に対する、”きめ細かなサービス”では、「生協」や「食品宅配サービス」にマウントを取られています。 

 

年齢・性別・地域別などで特徴が現れる消費者ニーズは、大型な店舗で人を観察するよりも、宅配サービスの受注履歴から調査する方が、効率的と考えられます。

そこで、イオンもネットスーパーに力を入れはじめました。

商品の調達は”店舗の在庫”を使う為、ネットスーパー用の在庫を持たなくて良いですし、 “注文したら当日、翌日に商品が届く!”と言うスピーディさは強みになります。

しかし、顧客データを活用した新サービスの開発は発展途上な面があり、在庫は店舗に依存している事が課題。

品切れをしていれば消費者は商品を買えないので、”注文した商品が届かない”と言った不満につながる事もあります。

 

“顧客データの活用”、”在庫管理”は、イオンの”弱み”と言えます。

*生協・・・一定の地域や職域の組合員で組織し、組合員の生活に必要な物資の供給、生活の改善などを目的とする組織 *食品宅配サービス・・カタログやインターネットで注文した食品を定期的に家に配達してくれるサービス

まとめ

結果として、イオンの”5つ力 分析”から以下の”強み”と”弱み”見えてきました。

    【強み】
    ・売り手との交渉力:商品の価格設定、商品以外の価値の提供
    ・買い手との交渉力:製品の安定供給、PBによるローコスト運営
    ・新規参入者の脅威:巨大な参入防壁
    【弱み】
    ・同業者の脅威(業態が同じ):設備投資コスト、差別化の難航
    ・同業者の脅威(地元スーパー):地域生活への密着、地場品の供給力
    ・代替品の脅威:顧客データの活用、在庫管理

 

こうしてみると、”事業を拡大させるか”、”業界から撤退するか”、”新規事業をはじめるか”などの その後の戦略・戦術を考える方向性が導き出せる事がわかります。

以上、「スーパー大手イオンの戦い~”5つの力 分析”の事例」でした。

 

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【参考図書①】
<会社四季報 業界地図>
激変する173業界の「いま」が徹底解説されています。
投資、就活、ビジネスのロードマップ作りに最適です。

【参考図書②】
<新版 競争戦略1>
戦略とはなにかを1から学べる。
戦術を会得する前に、市場と「自社の関係性」から「戦い方」を導き出しておきたい。

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