

本記事の内容
- バウンシングソールは、弾む履き心地と安全性が両立しています。
- グッドイヤーウェルト製法の靴は、歩くことで足にフィットします。
2021年の5月現在、私はドクターマーチンのシューズ&ブーツを10足以上もっており、仕事に遊びにと大活躍。
さまざまなデザイン、特色をもったドクターマーチンの数々は、以下で解説しています。
ドクターマーチンに惚れて5年。
2021年の5月現在、私はドクターマーチンのシューズ&ブーツを17足所有しています。(2021年5月26日現在)
これまで愛用してきたドクターマーチンの中で、とくにオススメしたいアイテムのレビューはコチラです。
Dr.Martensコレクション
ドクターマーチンは同じジャンルの革靴と比較して、手に入れやすい価格。
そして、どんなファッションともコーディネイトが容易なので人気のブランドです。
また、「履き心地がいい(弾む感覚、足になじむ)」ので、これまで革製のブーツやシューズを好きになれなかった方に、私は強くおすすめしています。
でも、ドクターマーチンを販売店で見たり、試着しただけでは、「ほかの革靴と何が違うの?」と言った疑問は解消されないはずです。
これはドクターマーチンに限ったことではありませんが、靴は「履きつづける」ことで魅力を感じることができるからです。
靴を選ぶときに口コミはとても参考になりますし、デザイン性にに惹かれて衝動買いをするときもありますが、ほとんどの人が靴を買う目的は「部屋に飾る」ためではないはずです。
そこで、「これからドクターマーチンを買おう!」とお考えのかたに向けて、ドクターマーチンの一番の特徴である「バウンシングソール」と、イングランドにおける伝統によって培われた「加圧圧着式グッドイヤーウェルト製法」について、やさしく解説します。
最後までお読みいただければ、ドクターマーチンが「なんとなく」ではなく「ほんとうに」、履きやすい理由を知っていただけるはずです。
ドクターマーチンのバウンシングソールは、弾む履き心地と安全性が両立しています。
特徴
ドクターマーチンのバウンシングソールは、エアクッションの性能だけではなく、滑りやすい場所や、化学物質から足を守ってくれるタフな靴でもあることが、人気の理由です。
これは、ドクターマーチンのファーストモデルの1460 8ホールブーツやセカンドモデルの1461 3ホールブーツが、発売当時おおくの労働者に支持されて爆発的に売れたことから証明されています。
ドクターマーチンが誕生した1960年代。
多くの労働者を悩ませていた、「長時間労働による足の疲労」から救ってくれたエアクッション・ソールは、ドイツ人の医師クラウス・マーテンが考案した、小さな空気の間仕切り(ハチの巣状)を多く設けて、クッション性を高めた靴底(通称:バウンシングソールです。
このバウンシングソールの特徴から、ドクターマーチンは「弾む履き心地」と称されています。
更に特筆すべきは、劣悪な足場環境でも、安全を担保できるように工夫されていること。
ドクターマーチンのアウトソールには、「oil(油)」「fat(油脂)」「acid(酸)」「petrol(ガソリン)」「alkali(アルカリ)」「resistant(耐性)」と言う刻印があります。
とくに人気の厚底ブーツの天敵は、不安定な足場。
酸・アルカリ・ガソリンは大げさに聞こえるかもしれませんが、いつなんどき足場が危険な場所にでくわすかは、誰も予測できないものです。
例えば、あなたも飲食店に入った時に、「床が調理後の油でぬるぬるしている時があったりして怖い思いをした」経験があるはず。

油でベトベト&ヌルヌルな床でもすべらない「コックシューズ」ほどの万全な、「すべり止め効果」は期待できませんが、一般的なブーツと比較すれば、靴の安全性は備えておきたい機能のひとつと言えます。
グッドイヤーウェルト製法の靴は、歩くことで足にフィットします。
ドクターマーチンは、高級なオーダーメイド品ではありませんが、1ヵ月半ほど履き続ければ、履いていることを忘れてしまうほど「ぴたっ」っと足にフィットします。
ドクターマーチンと接する最初のわずかな期間は「あなただけに仕立てられた靴」に生まれ変わるための、成長期。
ドクターマーチンのシューズ&ブーツが成長したら、まるで「自分だけに作られたような、特別な靴のようだ」と感じることでしょう。
たしかに本革でつくられたドクターマーチンの履き始めは、アッパーも中敷きもとても固く、靴に明らかな重さもあり、苦手に思う方もいます。
ほぼすべての人が、履いてすぐはドクターマーチンの代名詞、「バウンシングソールの弾む履き心地」は感じられても、「履き心地がいい靴だ」とは決して思わないはずです。
でも、「ドクターマーチンは期待していた以上ではないな」と判断して、履くのをやめるのは実にもったいない話です。
その理由は、ドクターマーチンの靴は自分の足型になじむまで、ある程度の時間を要するため。
ドクターマーチンはイングランドの伝統により培われた製法である、「グッドイヤーウェルト製法」で作られているからです。

【グッドイヤーウェルト製法の特徴と性能】
特徴
中底と甲革(アッパーとも呼ぶ)、コバ(細革、ウェルトとも呼ぶ)の三つを縫いつけ(すくい縫いと呼ばれる)したあと、ウェルトに表底(本底、アウトソールとも呼ぶ)を縫いつけ(出し縫いと呼ばれる)する製法です。
グッドイヤーウェルト製法とマッケイ製法の違い・見分け方と、ブラックラピッド製法について
グッドイヤーウェルト製法は複雑な構造をしているため、図で示すと下記のようになります。
図解
グッドイヤー・ウェルテッド製法は、もともとハンドソーンウェルテッドが発展したもので、機械による量産を可能にした技術です。
その製法とは、「リブ」というインソールに接着したテープとアッパーレザー、ライニングレザー、 ウエルトをすくい縫いした後、ミッドソールにコルクなどを詰め、ウエルトという細革とアウトソールを本縫いする複式縫いするのです。
グッドイヤー・ウェルテッド製法 | CROCKETT & JONES クロケット&ジョーンズ | Griffin International Ltd.
グッドイヤーウェルト製法は、複雑な構造をしていますが、機械によって大量生産することが可能です。
ドクターマーチンをはじめ品質のよい靴に用いられている伝統的な製法なので、私たちが身近に目にする高品質な革靴の多くに取り入れられています。
また、グッドイヤーウェルト製法は、「耐久性」「耐水性」「中敷きの性質」「靴の重さ」といった、特徴がみられます。
性能
複雑な縫合は、接着剤でソールをくっつけただけのセメント式とは比較にならないほどに丈夫。履いているうちにソールがはがれるなどのリスクがほぼない。
靴の内部から外側にかけて隙間がない構造のため水が靴の中に入りにくい。多少の雪や雨は問題にならないので、悪天候や足元が不安定な場所であっても心配なし。
コルクやフェルトで作られている中敷きは履くことで変形し、自分の足型にピタリとはまるようになっていく。
ウェルトや中敷き(一般的にはコルク)によって分厚いソールになっているため、重量感がある。


【ドクターマーチンは独自の加圧圧着式製法を採用】
ドクターマーチンの中敷きは、多くの英国靴ブランドが使用している「コルク」ではなく、「フェルト」が用いられています。
また、ドクターマーチンの靴はバウンシングソールを使用しているため、伝統的なグッドイヤーウェルト製法をアレンジした「加圧圧着式グッドイヤーウェルト製法」を採用しています。
通説で、グッドイヤーウェルト製法はで作られた靴は、一般的にソール交換が可能とされています。
縫合している糸を切ることで、新しいソールアッパーやインソールが分離できるためです。
ところがドクターマーチンは「加圧圧着式」と言う独自の接着製法を採用しているため、分離は困難。
結果、長年愛用した靴の修理を「ドクターマーチンに直接依頼して、オリジナルソールと交換してもらう」ができないのが難点です。

ドクターマーチンオフィシャルでは無理でも、すり減ったり破損してしまったソールを交換してくれる「リペアショップ(靴専門の修理屋さん)」に、愛用のドクターマーチンの修理を相談してみるのもいいでしょう。
まとめ
- 弾む履きごこちだけではなく、安全性の高いバウンシングソール
ドクターマーチンはエアクッション性能だけではなく、滑りやすい場所や、化学物質から足を守ってくれるので安心して履けます。 - イングランドの伝統で培われたグッドイヤーウェルト製法
ドクターマーチンは足に馴染むまでに時間はかかりますが、苦痛を乗り越えた先には、「自分だけの相棒」として離れられない相棒になります。
と、言うことで「ドクターマーチンの履き心地。独自のソールと製法をやさしく解説」でした。
あなたに最適な一足選びの参考にしていただけると幸いです。
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