【書評】恋は底ぢから | 中島らも | 恋に恋する人へのメッセージ

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中島らも 恋は底ぢから

この作品との出会いは1998年の夏。角川文庫を手に取った日から、中島らもさんの作品に強く惹かれていく事となります。私が「恋愛」と言う暖かくて時に尖った「感情の形」を学んだ、作品“恋は底ぢから”についてお話しします。

【この記事でわかる事】

  • 恋は底ぢからは恋愛がテーマの異色のエッセイ
  • 恋愛は「暖かい」だけではなく「痛みや疲労」を伴う

らもさんとの出会いは一篇のホラーオムニバスドラマ

本題の「恋は底ぢから」に入る前に、出会いを振り返ります。

はじめてお名前を知ったのはテレビ朝日系列で1997年の秋冬にウイークエンドドラマ枠で放送された「幻想ミッドナイト」の6話、「膝」を観た時です。

「膝」のテーマは「人面瘡」。このエピソードの「面白・怖さ」と「中島らも」なる未知の作家さんの名前が強く印象に残った記憶があります。

と言う事で、僕が初めて手に取ったのは「膝」の収録された「人体模型の夜」と、本題の「恋は底ぢから」の2冊。

「ホラー短編集」と「エッセイ」。

バラエティ豊かでウェットに富む作風で知られる、らもさんの奥深さを10代の頃にこの2冊で体験できた事は、後の人生に大きな影響を与える衝撃であり、財産になりました。

「中島らもの作品に触れる人は幸せになる」と、信じています。

異色のエッセイ集

本作、「恋は底ぢから」は異色のエッセイです。

奥様との馴れ初め、エッチな話、薬物体験、読者の悩み相談に乗るなど1冊の展開がめまぐるしく、らもさんの懐(思考力・話の広げ方)の広さが感じられます。

中島らもさんの有名なエピソード「その日の天使」も収録されています。

その日の天使:一人の人間の一日にいは、必ず「その日の天使が」ついている。その天使は毎日姿を変えて現れる。どんなにつらく苦しい日でも、天使が自分を支えてくれると言うお話し。

私は言葉選びが下手ですが、「中島らも」さんのことを2文字で表現すると「本能」の人。

その「本能」を引き出すことに夢中で、あらゆるカルチャーを貪欲に求めていた人。

別の言葉で表すなら「無垢な子供」。

私もそういう生き方を「本気」でしたいです。

恋愛は「暖かい」だけではなく「痛みや疲労」を伴う

このエッセイ集は「チビの女神さまへ」と言うタイトルのポエムからスタートます。

チビは「愛すれば愛するほど見失いそうになる存在」であり、
「どれだけ求めても痛みだけを投げつける存在」である。
なのに自分は「その痛みと疲労感が生きる力」になっている。

主人公が「チビ(と胡椒する)」へのラブレターをしたためているのですが、彼女への「文句」と「願望」が入り混じった複雑な想いが描かれています。

恋愛は焦燥感と高揚感の連続。暖かいだけではなく尖ったもので刺される様な痛みも時にはあります。
僅か冒頭の2ページのつかみで、らもさんは「恋愛と言う病のやっかいさ」を読者に伝えています。

終わりに

本作の魅力の一つとして、「版画の挿絵」があり、絵本を読んでいるような「親しみやすさ」を感じます。

らもさんから「恋愛への想い(メッセージ)」を読み聞かせられているような感覚を覚えるのです。

「恋愛の本質を追い求める純粋さ」に触れると、心が大きく成長します。
特に10代の皆さんに手に取ってもらいたい一冊です。

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